青楽長角蓋物

<黒部の山の色合い>

夏野菜が美味しくなる頃となりました。
雅膳の一皿は、甘鯛と夏野菜の含め煮です。冬瓜、茄子、人参、万願寺唐辛子など沢山の夏野菜が出ています。

季節のうつわは「青楽長角蓋物」です。
青楽は、緑釉のかけられた楽焼の俗称で、赤楽、黒楽に対して呼ばれてきました。
酸化銅で緑色に呈色させます。

片口硝子皿

<脂ののった地鱒>

雅膳の一皿は、酢の物で地鱒の酢味噌付です。春に遡上を始める桜鱒は地鱒と呼ばれています。脂ののった切り身は、一般的には酢に付け込んで押し寿司にします。
富山名産・鱒の寿司です。

季節のうつわは「片口硝子皿」です。
のびのびとした吹きガラスの作品で、富山在住のガラス作家の作品です。

染付山水馬上杯形小鉢

<藻付と白海老>

岩藻付は岩に付くモヅクです。普通のものより太めです。
富山湾の宝石と呼ばれる白海老と併せてお召し上がりください。
器も小鉢で。

季節のうつわは「染付山水馬上杯形小鉢」です。
小鉢ながら、呉須でしっかりと絵付けがなされています。

渕金線南京形硝子小鉢

<梅雨時期は硝子の器>

6月5日から二十四節気は芒種に入ります。越中宮崎産の岩水雲(イワモズク)の旨みが増してきます。太くて歯ごたえがあり、独特の粘りがあります。
特製の酢と合わせてお召し上がりください。

 合わせる酒は、林酒造(朝日町)の純米吟醸「林」がお薦めです。大吟醸黒部峡とは一味違う麹の香りが楽しめます。

季節のうつわは「渕金線南金形硝子小鉢」です。
硝子の器が似合う季節となりました。

九谷牡丹絵六角皿

<六角の輪花>

富山県は、昆布の消費量が全国一です。
明治初期、北海道の昆布漁場の開拓に県内の多くの人たちが携わりました。
また北前船での北海道との交易が盛んで、富山から北海道へ米を運び、帰りの船で昆布をはじめとする海産物を運んできました。
故意に昆布は、富山の家庭では食材として身近なものでした。
昆布を使った料理は多くありますが、昆布締めもその一つです。
新鮮な魚を昆布で〆ます。

季節のうつわは「九谷牡丹絵六角皿」で大正期の作品です。
北前船は、寄港地に陶器や漆器など、生活向上のための様々な器をもたらしました。

青瓷花刻小鉢

<見込みに花印>

今年も黒部川に桜鱒が戻ってきました。地元では地鱒と呼んでいます。
銀化した大きな体になって生まれた川に帰ってきます。
木の芽焼きや押し寿司や酢の物で食します。しゃぶしゃぶも絶品です。

季節のうつわは「青瓷花刻小鉢」で、青磁の翡翠色が鱒の桜色に合います。

染付波絵舟形小向

<涼しげな小向>

富山県朝日町の泊漁港の沖合に深さ400mの岩礁域があります。
そこに生息する巨大魚が石投(イシナギ)で、地元ではオイボと呼んでいます。

5~6月の産卵期には水深150m位のところまで移動します。
この時を逃さず一本釣りで、つり上げます。
皮や卵巣には、ゼラチンが多く含くまれているので、涼やかで美しい煮凝りにします。

季節のうつわは「染付波絵舟形小向」です。
呉須の波絵で季節を味わえます。

仁清色絵藤絵六寸皿

<柳鉢目の煮つけ>

滞在料理の煮物としてよく使うのは、柳鉢目(ヤナギバチメ)です。
富山湾の柳鉢目漁も終盤になると大物が水揚げされます。
大物を吟味して炊合わせにします。

季節のうつわは「仁清色絵藤絵六寸皿」です。
山を彩る藤の花が散ると、二十四節気の芒種に入ります。
梅の実が色づき熟すると、いよいよ梅雨入りとなります。

染付花菱文皿

<染付の花菱文>

雅膳のデザートは、果物の色を引き立たせるため白磁の皿を用います。
コバルトブルーのシンプルな線が和の雰囲気を与えます。

季節のうつわは「染付花菱文皿」です。呉須の繊細な線が器に貴賓を与えます。
花菱文の他に、松菱文や雪割文の染付の文様が白磁には美しく映えます。

青油滴天目輪花向付

<宇宙のような広がりの油滴天目>

富山湾の平目には雲丹が合います。延楽自家製の煎り酒でお刺身をいただきます。
合わせるお酒は、地酒・勝駒純米吟醸です。

季節のうつわは「向付・青油滴天目輪花」です。
深みのある群青と油滴が生み出す宇宙観は、芸術作品となります。