宝鐸草(ホウチャクソウ) ユリ科

<白と緑のグラデーションが美しい花冠>

宝鐸草(ホウチャクソウ)は、宇奈月の落葉樹林内や杉林に生えるユリ科の多年草です。

茎は、高さ40cmぐらいで無毛で直立し、上部で分岐し互生の葉がつきます。葉は、長卵形で短い葉柄があり、無毛で鋸歯がありません。花は枝先に1個か2個、下垂して付きます。花冠は筒状で、先端は広くなり淡緑色です。地味ですが、白から緑のグラデーションが美しい花です。

宝鐸とは、お堂や塔の四隅につるす大型の鈴のことで、銅鐸の美称です。花冠の形が宝鐸に似ていることが和名の由来です。 春先に見られるアマドコロやナルコユリと芽吹きがよく似ています。 近くには稚児百合(チゴユリ)の群生が見られます。

金鳳花(キンポゲ) キンポウゲ科

<黄金色に輝くキンポウゲ>

金鳳花(キンポウゲ)は、宇奈月の日当たりのいい平地に生えるキンポウゲ科の多年草です。 

花は、高さ50cmぐらいの花茎を出し頂部で分岐して各枝端に1個の黄色の5弁花をつけます。 花弁は光沢を持ち黄金色に輝くところから和名の由来となっています。広く群生するので、風が通るたびに黄金色に波打ちます。

葉は根出葉で長い葉柄があり、掌状に深く裂け各裂片は粗い鋸歯状になっていて、キンポウゲ科の植物の特徴が出ています。 キンポウゲ科の植物は、花が美しいので観賞用に栽培されますが、アルカロイドを含む有毒植物が多くあります。

桐(キリ) キリ科

<淡紫の筒状鐘形>

桐は、宇奈月の山地に生える落葉高木で、高さが8mから15mにもなります。古い時代に中国から入ってきて、材は軽くて美しく良質なので各地で栽培されました。主に和箪笥や琴、下駄など用途が広く身近な木材でした。

葉は、対生し大型の広卵形で、粘り気のある毛が密生します。樹皮は灰白色です。枝先に淡紫色の花を円錐状に多数つけます。花は長さ5から6cm筒状鐘形で秋には果実を付けます。

桐は意匠化され、「五七桐花紋」「五三桐花紋」として家紋に使われています。桐は鳳凰の宿る木として神聖視され、菊のご紋に次ぐ高貴な紋章とされました。五七桐花紋は日本国政府の紋章として、五三桐花紋は皇宮警察本部や法務省で使われています。

谷空木(タニウツギ) スイカズラ科

<田植えの時期に花開く谷空木>

谷空木(タニウツギ)は宇奈月の日当たりのよい山野に生えるスイカズラ科の落葉低木です。 地元では田植えの時期に咲き始めるので、田植え花ともいいます。

葉は対生して長楕円形で、葉脈がはっきりして縁には鋸歯があります。 早いものは、5月の連休明けに新枝の先や葉腋に散房花序を出して複数の花をつけます。 花冠は淡紅色の筒状鐘型で、上部がしだいに膨らんで先は5裂しています。

開花しているものより蕾の方が濃い紅色で、雨の日には新緑の葉の中に美しく映えます。 谷間によく見られるので谷空木と呼ばれています。 稀に白色の白花空木(シロバナウツギ)が見られます。

竹笋生(たけのこ しょうず)

<標高566.8mの大原台自然公園に建立された観音像>

5月16日から七十二侯は「竹笋生(たけのこ しょうず)」。二十四節気「立夏」の末侯にあたる。竹笋(たけのこ)が生えてくる頃という意味。

笋は、筍の異体字である。食材の筍の収穫期間は、孟宗竹が3月から4月。真竹は5月から6月にかけて。今の時期に収穫できる筍は根曲竹(ねまがりだけ)で、宇奈月の深山の広葉樹林や沢地などに大きい集団を作って群生する。地元の人は、筍と言うよりは山菜の感覚で扱っている。千島笹とも呼ばれ、北海道から山陰までの日本海側で雪深いところに分布する。

5月18日は宇奈月平和の像(観音像)の観音祭で、法要が営まれる。地元出身の彫刻家・佐々木大樹氏の大作で、台座を含めると21mの高さがあり、宇奈月温泉街が一望できる標高566.8mの大原台自然公園にある。日本一高いところに建立されたブロンズの観音像である。

大原大からは遠くは北の彼方に富山湾と能登半島、東の彼方には雪を頂いた白馬連山を望むことができる。延楽から車で20分であるが、自然を味わいながら90分かけて散策するのも良い。様々な山野草や蝶々が観察できる、お薦めのコースでもある。

雪笹(ユキザサ) ユリ科

<群生を作ることが多い雪笹>

雪笹(ユキザサ)は、宇奈月の落葉樹林に生えるユリ科の多年草です。

葉は卵状楕円形で互生し、裏に粗毛があります。花は、やや斜上した頂部に円錐花序を付け、純白の小さな花が多数斜めから横向きに開きます。秋になると赤い実を付け、虫食いの照り葉と共にお茶花として用いられます。

葉の形を笹に見立て、花は雪に葉を笹に見立てたことが和名の由来となっています。小振りの下蕪の花器に、単独で生けても美しく貴賓があります。

丸葉青梻(マルバアオダモ) モクセイ科

<白い細かな花をつける丸葉青梻(アオダモ)>

丸葉青梻は、宇奈月の低山で見られるモクレン科の落葉高木で、高さが5mから15mになります。

樹皮は灰色で若枝には腺毛があります。葉は長柄の奇数葉状複葉で対生します。新梢に円錐花序をつけ、白色線形の4弁の小花を多くつける。葉は名前に反して丸くなく縁に鋸歯がほとんどないので、鋸歯のある青梻と見分けがつきます。

青梻は国産バットに利用されます。富山県南砺市のバット生産量は全国の4割を占めます。

射干(シャガ) アヤメ科

<林縁に群生するシャガ>

射干(シャガ)は、宇奈月のやや湿った樹林内や林道沿いの斜面に群生する、アヤメ科の常緑多年草です。

地下茎からアヤメ科特有の長い匍匐枝(ホフクシ)を出して増えていきます。 葉は、光沢がある緑色の長い広剣状で扇形に生え、基部は茎を抱いています。 分枝した茎の上部に淡青紫の不揃いなアヤメに似た花をつけます。 花弁に濃い紫と黄色の模様が特徴です。

古くに中国からもたらされた帰化植物で、三倍体のため種子ができないようです。 小型のヒメシャガは可憐で香りもよく観賞用として広く愛好されています。

二人静(フタリシズカ) センリョウ科

<林内でひっそり咲く二人静>

二人静(フタリシズカ)は、宇奈月の落葉樹林内や杉林の中でひっそりと咲いているセンリョウ科の多年草です。

地下の根茎から多くの根を出し、茎は直立し茎頂から2本の花穂の先に米粒のような白い花をつけます。 稀に花穂が3本、4本の物があります。葉は、楕円形で微細な刺状鋸歯があります。

5月の初めに咲く一人静は、花穂が1本で葉の色が濃く厚めで光沢があり、輪生なので容易に見分けがつきます。

紫華鬘(ムラサキケマン) ケシ科

<儚く消える花です>

紫華蔓(ムラサキケマン)は、宇奈月の林道沿いの林縁や藪陰に多く見られるケシ科の越年草です。

茎は柔らかく多汁質で紅色をおびています。 葉は根生し、2回3出複葉で柔らかくて先端には鋸歯があります。 瑞々しい薄い葉は、裏から光を当てると美しく萌葱色に浮かびます。

落葉樹の葉が成長し、その葉で陽光が遮られるとすぐに消えていく儚い春の植物で、スプリング・エフェルメです。根にしっかりと栄養を蓄えますので、来春も美しい花をを咲かせます。

美しい花ですが、全草にプロトピンというアルカロイドを含む有害植物なので注意が必要です。