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蟄虫坏戸(むし、かくれてとをふさぐ)

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9月28日から七十二侯は「蟄虫坏戸(むし、かくれてとをふさぐ)」で二十四節気の秋分の次侯にあたる。

寒さが少しづつ増し、虫たちが巣ごもりの支度を始め、土の中へと潜っていく頃という意味。

半年前の3月5日からの七十二侯は「蟄虫啓戸(すごもりのむし、とをひらく)」で、冬眠していた生き物が春の日差しの元に出てくる頃という意味で、二十四節気、啓蟄の初侯にあたる。

蟄虫(ちっちゅう)とは地中にこもって越冬する虫のこと。

虫たちの動きで季節の移ろいが感じられるのは大和ごころ。

これから黒部の谷は紅に色付き始め、渓谷の流れる水は透明感を際立だたせる。

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雷乃収声(かみなり、すなわちこえをおさむ)

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<秋の気配:宇奈月の山野に群生するオオイタドリ>

9月23日から二十四節気は秋分を向かえる。

春分と同様、昼と夜の長さが同じになる。

この日を境に陽は弱く短くなり、季節は少しずつ冬へと向かう。

七十二侯は「雷乃収声(かみなり、すなわちこえをおさむ)」で秋分の初侯にあたる。

黙黙と力強く湧く入道雲は消え、夕立時に鳴り響いた雷が収まる頃という意味。

これに対して七十二侯の「雷乃発声(かみなり、すなわちこえはっす)」は、二十四節気、春分の末侯で今年は3月30日から4月3日までだった。

富山では雷のとらえ方が違うようだ。

地響きのような激しい雷鳴が轟き渡るのは、11月末から1月の間で、鰤の豊漁を告げる「鰤起こし」と呼ばれている。

富山湾に強風が吹き荒れ、沖合では大シケが続き閃光が走る。

特に11月末に起きる荒天は、11月28日が親鸞の命日であるところから、真宗王国である越中の漁師の間では「御満座(ごまんざ)荒れ」と呼ばれた。

故に富山では冬に大きなエネルギーを持った雷が多く発生し、その威力は夏の数百倍とも言われる。

冬の雷は、漁師にとっては鰤を沖合から誘う縁起のいい兆しとされている。

富山では今年から「富富富(ふふふ)」という富山のブランド米を試験栽培している。

甘み、旨み、つややかさに特化したコシヒカリに代わる新たな品種だ。

雷の多い年は豊作だと言われるくらいお米と雷が密接に関係している。

夏の強い日差しの中、雷雲は恵みの雨をもたらす。

その閃光を稲妻と表現するのも稲作文化の象徴かもしれない。

とかく富山の旨いものは雷と縁がある。

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玄鳥去(つばめ、さる)

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<延楽ギャラリーでの演奏>

9月18日から22日まで七十二侯は「玄鳥去(つばめ、さる)」で二十四節気の白露の末侯にあたる。

玄鳥とはツバメの総称。

春に日本にやってきた燕が暖かい南の国へ帰る頃という意味。

20日は秋彼岸の入り。

暑さ寒さは彼岸までの言葉通り燕の渡りが始まる。

燕がやってくるのは七十二侯の「玄鳥至(つばめ、きたる)」で二十四節気の清明の初侯で、今年は4月4日だった。

宇奈月温泉で飛び交う燕は岩燕で尾羽が短くやや小型。

燕が去る頃、温泉街では宇奈月モーツアルト音楽祭が行われる。

今年は9月16日から18日まで開催。

山に囲まれた温泉街の各所からモーツアルトの調べが耳に届く。

豊かな自然に恵まれた出湯ならではの情緒である。

音楽祭が終わると秋の深まりを感じつつ月影がさやかな季節を迎える。

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鶺鴒鳴(せきれい、なく)

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<白露が降りる黄釣船草>

9月12日から七十二侯は「鶺鴒鳴(せきれい、なく)」で二十四節気の白露の次侯にあたる。

季節は中秋で鶺鴒が鳴き始める頃という意味。

鶺鴒は宇奈月周辺では通年見かける。

舗装された山道をチチッチチッと高い鳴き声を発して、長い尾をしきりに上下に振りながら小走りに動く。

まるで道案内をしてくれるかのように。

黒部の渓流沿いや、宇奈月谷などの水辺に棲む。

古くは日本神話の国産みの神聖な鳥として日本書紀に登場する。

鶺鴒の季語は秋。

我が国では白というと雪を連想するが、中国では白は秋の色とされている。

野の草花に宿った朝露が白く輝く頃、鶺鴒のオスが伴侶を探して鳴き始める。

黒部の山々では、これから日一日と秋の情趣が感じられるようになる。

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草露白(くさのつゆ、しろし)

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<白露に濡れた秋桐>

9月7日から二十四節気は白露となる。

朝晩の気温差が大きくなると露が降りるようになる。

暦便覧には「陰気ようやく重なり露凝って白し」と。

夏の気配を残しつつも朝夕は涼しくなり草花に朝露がつくようになるという意味。

七十二侯は「草露白(くさのつゆ、しろし)」で白露の初侯。

草に降りた露が白く光って見える頃という意味。

早朝、宇奈月僧ヶ岳の登山道を行くと草露に足下が濡れる。

行き会いの空は、季節の移ろいを伝える。

白露に濡れた秋桐が心に残る。

秋桐は、シソ科の多年草で桐の花に似ているところから名付けられた。

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禾乃登(こくのもの、すなわちみのる)

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9月2日から七十二侯は「禾乃登(こくのもの、すなわちみのる)」で二十四節気の処暑の末侯にあたる。

禾の文字は粟や稲の穂を形取り、豊かな実りを象徴する。

稲穂が膨らんで黄金色になる頃という意味。

「おわら風の盆」は、五穀豊穣を願いつつ9月3日で静かに幕を閉じる。

3日間で26万人のお客様が坂の町を訪れる。

深みのある叙情性が訪れる人々の心を打つ。

新作おわらの代表作は小杉放庵が詠んだ「八尾四季」。

ゆらぐつり橋手に手をとりて
 渡る井田川 オワラ 春の風

富山あたりかあの灯火は
 飛んでゆきたや オワラ 灯とり虫

八尾坂道わかれてくれば
露か時雨か オワラ はらはらと

若しや来るかと窓押しあけて
 見れば立山 オワラ 雪ばかり

昭和3年に川崎順二に招かれて詠った。

八尾の往路には必ずといっていいほど延楽で長逗留され黒部の景勝を詠う。

延楽創業者の竹次郎と馬があったようだ。

宿には小杉放庵の足跡が数多く残っている。

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天地始粛(てんち、はじめてさむし)

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8月28日から七十二侯は「天地始粛(てんち、はじめてさむし)」で二十四節気の処暑の次侯にあたる。

粛には鎮まる、弱まるという意味あり、ようやく暑さが鎮まる頃という意味。

立春から数えて二百十日は風の厄日で9月1日にあたる。

大風の吹く頃である。

田圃の黄金の波を守るため、風神を鎮める祈りの踊りが行われる。

越中八尾の「風の盆」である。

9月1日から9月3日まで三日三晩、哀愁を帯びた鼓弓の音色に乗って街流しが行われる。

朝晩は涼しくなり天気図には秋雨前線が現れてくる。

南方で発生した低気圧は、台風に変わり日本列島に上陸しようとしている。

今も昔も二百十日の前後は、台風到来の時節である。

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綿柎開(わたのはなしべ、ひらく)

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8月23日から二十四節気の処暑となる。

処とは止まる、留まるという意味で、処暑を迎えると夏の暑さが収まるとされる。

七十二侯は「綿柎開(わたのはなしべ、ひらく)」で処暑の初侯にあたる。

綿を包む柎(はなしべ)が開き、中から綿毛が出てくる頃という意味。

宇奈月は篠突く雨の日が多く、かき入れ時の黒部峡谷鉄道も空席が目立つ。

山あいの宇奈月の里に、晴れ間を縫って遅ればせながら秋あかねが飛び交う。

越中八尾では、風の盆の前夜祭が各町内持ち回りで行われる。

立春から数えての210日はもうすぐだ。

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蒙霧升降(ふかききり、まとう)

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<朝霧に包まれる黒部峡谷>

8月18日から23日まで七十二侯は「蒙霧升降(ふかききり、まとう)」で二十四節気、立秋の末侯にあたる。

蒙霧とは立ちこめる深い霧のことで、朝晩の冷え込みで濃い霧が発生しやすい頃という意味。

俳句では霧は秋の季語。

これから山や川、湖などに霧が発生しやすくなる。

8月18日は宇奈月温泉花火大会。

光の大輪が峡谷の夜空を華やかに彩る。

宇奈月温泉は四方を山に囲まれているので、花火の炸裂音が峡谷中に響き渡る。

夏の終わりを告げる花火大会。

宇奈月の山野では薄や萩の花が咲き、秋茜が飛び交う季節となる。

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寒蝉鳴(ひぐらし、なく)

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<宇奈月公園の歌碑:昭和天皇御製歌>

8月12日から七十二侯は「寒蝉鳴(ひぐらし、なく)」で二十四節気、立秋の次侯にあたる。

寒蝉(かんぜみ、かんせん)とは、秋(立秋)になく蝉で、蜩(ひぐらし)、つくつく法師のことで、七十二侯ではひぐらしの事。

終わり行く夏を惜しむかのように夕暮れ時に「カナカナカナ」と鳴く寒蝉の声。

宇奈月温泉は四方を山に取り囲まれている地形故、もの悲しい声が多方向から聞こえてくる。

少し前までは河鹿の鳴き声が黒部川の河原から「コロコロコロ」と川風に乗って心地よく聞こえていたが、立秋にはいると寒蝉と入れ替わる。

河鹿は清流に住む蛙で、文人墨客の宇奈月で詠んだ歌や詩の中に度々登場するが、寒蝉は余り見られない。

宇奈月公園には歌碑が幾つか建っている。

真夏の蝉時雨から余韻を残す寒蝉に変わり、季節の移行のシグナルを聞きながら歌碑を辿るのも宇奈月温泉での過ごし方の一つだ。

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