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玄鳥去(つばめ、さる)

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<延楽ギャラリーでの演奏>

9月18日から22日まで七十二侯は「玄鳥去(つばめ、さる)」で二十四節気の白露の末侯にあたる。

玄鳥とはツバメの総称。

春に日本にやってきた燕が暖かい南の国へ帰る頃という意味。

20日は秋彼岸の入り。

暑さ寒さは彼岸までの言葉通り燕の渡りが始まる。

燕がやってくるのは七十二侯の「玄鳥至(つばめ、きたる)」で二十四節気の清明の初侯で、今年は4月4日だった。

宇奈月温泉で飛び交う燕は岩燕で尾羽が短くやや小型。

燕が去る頃、温泉街では宇奈月モーツアルト音楽祭が行われる。

今年は9月16日から18日まで開催。

山に囲まれた温泉街の各所からモーツアルトの調べが耳に届く。

豊かな自然に恵まれた出湯ならではの情緒である。

音楽祭が終わると秋の深まりを感じつつ月影がさやかな時季を迎える。

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鶺鴒鳴(せきれい、なく)

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<白露が降りる黄釣船草>

9月12日から七十二侯は「鶺鴒鳴(せきれい、なく)」で二十四節気の白露の次侯にあたる。

季節は中秋で鶺鴒が鳴き始める頃という意味。

鶺鴒は宇奈月周辺では通年見かける。

舗装された山道をチチッチチッと高い鳴き声を発して、長い尾をしきりに上下に振りながら小走りに動く。

まるで道案内をしてくれるかのように。

黒部の渓流沿いや、宇奈月谷などの水辺に棲む。

古くは日本神話の国産みの神聖な鳥として日本書紀に登場する。

鶺鴒の季語は秋。

我が国では白というと雪を連想するが、中国では白は秋の色とされている。

野の草花に宿った朝露が白く輝く頃、鶺鴒のオスが伴侶を探して鳴き始める。

黒部の山々では、これから日一日と秋の情趣が感じられるようになる。

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草露白(くさのつゆ、しろし)

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<白露に濡れた秋桐>

9月7日から二十四節気は白露となる。

朝晩の気温差が大きくなると露が降りるようになる。

暦便覧には「陰気ようやく重なり露凝って白し」と。

夏の気配を残しつつも朝夕は涼しくなり草花に朝露がつくようになるという意味。

七十二侯は「草露白(くさのつゆ、しろし)」で白露の初侯。

草に降りた露が白く光って見える頃という意味。

早朝、宇奈月僧ヶ岳の登山道を行くと草露に足下が濡れる。

行き会いの空は、季節の移ろいを伝える。

白露に濡れた秋桐が心に残る。

秋桐は、シソ科の多年草で桐の花に似ているところから名付けられた。

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禾乃登(こくのもの、すなわちみのる)

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9月2日から七十二侯は「禾乃登(こくのもの、すなわちみのる)」で二十四節気の処暑の末侯にあたる。

禾の文字は粟や稲の穂を形取り、豊かな実りを象徴する。

稲穂が膨らんで黄金色になる頃という意味。

「おわら風の盆」は、五穀豊穣を願いつつ9月3日で静かに幕を閉じる。

3日間で26万人のお客様が坂の町を訪れる。

深みのある叙情性が訪れる人々の心を打つ。

新作おわらの代表作は小杉放庵が詠んだ「八尾四季」。

ゆらぐつり橋手に手をとりて
 渡る井田川 オワラ 春の風

富山あたりかあの灯火は
 飛んでゆきたや オワラ 灯とり虫

八尾坂道わかれてくれば
露か時雨か オワラ はらはらと

若しや来るかと窓押しあけて
 見れば立山 オワラ 雪ばかり

昭和3年に川崎順二に招かれて詠った。

八尾の往路には必ずといっていいほど延楽で長逗留され黒部の景勝を詠う。

延楽創業者の竹次郎と馬があったようだ。

宿には小杉放庵の足跡が数多く残っている。

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天地始粛(てんち、はじめてさむし)

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8月28日から七十二侯は「天地始粛(てんち、はじめてさむし)」で二十四節気の処暑の次侯にあたる。

粛には鎮まる、弱まるという意味あり、ようやく暑さが鎮まる頃という意味。

立春から数えて二百十日は風の厄日で9月1日にあたる。

大風の吹く頃である。

田圃の黄金の波を守るため、風神を鎮める祈りの踊りが行われる。

越中八尾の「風の盆」である。

9月1日から9月3日まで三日三晩、哀愁を帯びた鼓弓の音色に乗って街流しが行われる。

朝晩は涼しくなり天気図には秋雨前線が現れてくる。

南方で発生した低気圧は、台風に変わり日本列島に上陸しようとしている。

今も昔も二百十日の前後は、台風到来の時節である。

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綿柎開(わたのはなしべ、ひらく)

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8月23日から二十四節気の処暑となる。

処とは止まる、留まるという意味で、処暑を迎えると夏の暑さが収まるとされる。

七十二侯は「綿柎開(わたのはなしべ、ひらく)」で処暑の初侯にあたる。

綿を包む柎(はなしべ)が開き、中から綿毛が出てくる頃という意味。

宇奈月は篠突く雨の日が多く、かき入れ時の黒部峡谷鉄道も空席が目立つ。

山あいの宇奈月の里に、晴れ間を縫って遅ればせながら秋あかねが飛び交う。

越中八尾では、風の盆の前夜祭が各町内持ち回りで行われる。

立春から数えての210日はもうすぐだ。

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蒙霧升降(ふかききり、まとう)

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<朝霧に包まれる黒部峡谷>

8月18日から23日まで七十二侯は「蒙霧升降(ふかききり、まとう)」で二十四節気、立秋の末侯にあたる。

蒙霧とは立ちこめる深い霧のことで、朝晩の冷え込みで濃い霧が発生しやすい頃という意味。

俳句では霧は秋の季語。

これから山や川、湖などに霧が発生しやすくなる。

8月18日は宇奈月温泉花火大会。

光の大輪が峡谷の夜空を華やかに彩る。

宇奈月温泉は四方を山に囲まれているので、花火の炸裂音が峡谷中に響き渡る。

夏の終わりを告げる花火大会。

宇奈月の山野では薄や萩の花が咲き、秋茜が飛び交う季節となる。

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寒蝉鳴(ひぐらし、なく)

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<宇奈月公園の歌碑:昭和天皇御製歌>

8月12日から七十二侯は「寒蝉鳴(ひぐらし、なく)」で二十四節気、立秋の次侯にあたる。

寒蝉(かんぜみ、かんせん)とは、秋(立秋)になく蝉で、蜩(ひぐらし)、つくつく法師のことで、七十二侯ではひぐらしの事。

終わり行く夏を惜しむかのように夕暮れ時に「カナカナカナ」と鳴く寒蝉の声。

宇奈月温泉は四方を山に取り囲まれている地形故、もの悲しい声が多方向から聞こえてくる。

少し前までは河鹿の鳴き声が黒部川の河原から「コロコロコロ」と川風に乗って心地よく聞こえていたが、立秋にはいると寒蝉と入れ替わる。

河鹿は清流に住む蛙で、文人墨客の宇奈月で詠んだ歌や詩の中に度々登場するが、寒蝉は余り見られない。

宇奈月公園には歌碑が幾つか建っている。

真夏の蝉時雨から余韻を残す寒蝉に変わり、季節の移行のシグナルを聞きながら歌碑を辿るのも宇奈月温泉での過ごし方の一つだ。

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涼風至(すずかぜ、いたる)

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<関電専用軌道>

8月7日から8月22日まで二十四節気は立秋。

うだるような暑さが続く中、暦の上では立秋を迎える。

季節の挨拶も暑中見舞いから残暑見舞いに替わる。

七十二侯は、「涼風至(すずかぜ、いたる)」で二十四節気・立秋の初侯。

暦は、秋になり風も涼しくなる頃という意味。

宇奈月では朝夕の日差しは少しずつ和らぎ、吹く風にも涼しさを感じる。

野山に出でれば虫の声や咲く花にも秋の気配を感じる。

今年も黒部峡谷に涼を求めて沢山の人が訪れる。

黒部峡谷鉄道の観光用の終点駅は欅平である。

欅平から黒部ダムまでは、関西電力の許可を得た者だけが利用できる関電ルートがある。

その一部を体験できるツアーが「黒部峡谷パノラマ展望ツアー」で、北陸新幹線が金沢開業した2015年に立ち上げられた。

いわゆる黒部川第三発電所の建設ヒストリーである。

黒部川第三発電所、略して「黒三」は、欅平駅の直下にひっそりと無人運転を続けている。

昭和11年の秋着手され、完工は昭和15年の晩秋である。

黒三の工事ほど困難を極めた土木工事は他にない。

今も残っている隧道やそこを走る専用軌道、昭和12年に築かれた画期的な竪坑エレベータ、昭和初期に峡谷の断崖絶壁に刻まれた日電歩道。

そのどれもが今も現役として使われているから驚きである。

人間が大自然に挑み、その時代の土木建設技術の限界ぎりぎりでの営みをうかがい知ることができる歴史的遺産でもある。

当時の時代背景は、シナ事変が起き電力管理法が制定される。

黒三は、軍需産業を中心とする「国家総動員」に電力を供給するプロジェクトとしての一面もあり、戦時下での突貫作業が行わる。

工事のすさまじさは、吉村昭著の「小説高熱隧道」に生々しく紹介されている。

先人達が命を懸けた電源開発とその歴史を辿る学びの旅。

11月13日までの金、土、日、月曜日に運行される。

1日4便で4日前まで予約が必要。

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大雨時行(たいう、ときどきにふる)

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<雪解け水が湛えられるうなづき湖>

8月2日から七十二侯は、「大雨時行(たいう、ときどきにふる)」で二十四節季・大暑の末侯。

本日、富山県内は例年より14日遅れで、梅雨が明ける。

山にはまだ薄暗い雨雲が立ち込め、今にも激しい雨が襲ってくるようだ。

入道雲が湧き上がるようになれば夕立の合図。

大雨が大地を洗い流し、しばし夕暮れの涼を与えてくれる。

黒部峡谷は涼を求めるお客様で賑わう。

トロッコ電車は、線路をきしませながら宇奈月駅を出ると、先ず目に入るのがエメラルドグリーンの「うなづき湖」。

2001年に完成した宇奈月ダムによって湛水されてできた湖である。

黒部峡谷は八千八谷と呼ばれるくらい谷が多い。

湖には急峻な谷から流れ出た雪解け水が、満面に湛えられている。

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