涼風至(すずかぜ いたる)

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<甘い香りを漂わせる葛の花>

8月7日から二十四節気は「立秋」。

猛暑日が続くが、暦の上では秋を迎える。

宇奈月では日中は、まだまだ厳しい暑さが続くが、朝や夕方に涼やかな風の気配が感じられるようになる。

立秋以降の暑さを残暑といい、手紙の時候の挨拶は「残暑見舞い」となるが、今年はまだまだ酷暑日が続く。

七十二侯は「涼風至(すずかぜ、いたる)」で二十四節気「立秋」の初侯にあたる。

季節は少しずつ秋に向かい、涼しげな風が吹く頃という意味。

山では雨不足により焼けた葉を纏う木々が見られる。

葛は様々な樹木に絡みつき、赤紫の花を開花させ、甘い香りを周辺に漂わせている。

とにかく暑さに強い植物である。

そんな葛の葉の陰で、集く虫の音が聞けるのも間近である。

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大雨時行(たいう、ときどきにふる)

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<星座の参考資料webより>

8月2日から七十二侯は、「大雨時行(たいう、ときどきにふる)」で二十四節気「大暑」の末侯にあたる。

大雨が時々降る頃という意味。

例年この時季は高温多湿な季節風が夕立をもたらすが、今年は全国的に猛暑日が続く。

宇奈月温泉は朝晩の山からの風が涼を運び心地良い。

延楽の屋上ではこの風を受けての星空観察。

今年は火星が最も大接近する年で、南東の空にひときわ赤く輝いている。

その横には土星、さそり座のアンタレス、木星を確認することができる。

9月までが観察しやすい時期だ。

旅先で宇宙のロマンに浸ってみるのもいいですね。

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土潤溽暑(つち うるおうて むしあつし)

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<見頃を迎えた球紫陽花>

7月28日から七十二侯は、「土潤溽暑(つち、うるおうてむしあつし)」で二十四節気「大暑」の次侯にあたる。

梅雨の湿気を帯びた大地に、強い日差しが照りつけて蒸し暑くなる頃という意味。溽暑(じょくしょう)とは湿気が多く蒸し暑いこと。

今年は7月9日に梅雨が明け、毎日酷暑が続く。

黒部の山々の雪形は、かなり小さくなり雪解けが進んでいる。

黒部川の水量は例年に比べると少なく、宇奈月ダムからは水が流れていない。

ダム直下にある宇奈月発電所の発電機を廻し終えた水が、黒部川本流に放出され、川の流れを作っている。

それでも早朝の山から吹き下ろす風は冷たく心地良い。

早朝ウォークのコースの山彦遊歩道では薄紫色の球紫陽が見頃を迎える。

紫式部の花はあまり目立たないが、枝先に小粒の花を多く集めている。

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桐始花結(きり はじめて はなを むすぶ)

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<桐の花が実を結ぶ>

7月23日から二十四節気は「大暑」。日本列島は太平洋高気圧に覆われ、加えて中国大陸からはチベット高気圧が重なるように広く覆う。

梅雨が明けてから連日猛暑日が続き、埼玉県熊谷市では国内最高の41.1度を記録する。

七十二侯は、「桐始花結(きり はじめて はなを むすぶ)」で二十四節気「大暑」の初侯にあたる。

春に開花した桐の花が大暑に入り実を結ぶ頃という意味。

桐はキリ科の落葉広葉樹で宇奈谷沿いや宇奈月温泉上流のうなづき湖の湖畔に多く見られ、五月中旬には薄紫の筒状の花が開花する。

大暑の今は、卵形の茶色い実を付ける。桐は高木で枝を大きく伸ばし、広卵形の大きな葉を多く付けるので、心地よい木陰を作ってくれる。

古くから、鳳凰の止まる木として神聖視されてきた。

桐紋は菊の御紋に次ぐ高貴な紋章として皇室で受け継がれ、近代以降は日本国政府の紋章として使用されている。

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鷹乃学習(たか、すなわちわざをならう)

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<峡谷の風が涼をよぶ>

7月17日から七十二侯は、「鷹乃学習(たか、すなわちわざをならう)」で二十四節気「小暑」の末侯にあたる。

春に生まれた鷹の幼鳥が、飛び方を覚える時期で、巣立ちの準備をする頃という意味。

鷹は、古くから獲物を捕るための道具として大切にされてきた猛禽類である。

鷹狩りは、四千年前に中央アジアの平原で始まり、日本へは四世紀半ばに朝鮮半島を経て伝わって来たと言われる。

先日の地元紙によると、徳川家康が鷹狩りを好み、鷹術は一種の礼法と見なされた。

家康が好んだ「祢津流」は全国の武家の間に広まった。

加賀藩、富山藩にはこの流れを汲む「依田家」が鷹匠として抱えられ、文武二道を旨とする前田家で鷹匠文化として継承されていった。

武家にとって鷹狩りは、領内視察のほか軍事演習の意味合いもあったので、武芸奨励として受け継がれた。

黒部の奥山は加賀藩の直轄地で、黒部奥山廻役が定期的に調査に入る。

この時も鷹や犬鷲の飛ぶ様で、位置確認や気象予測の参考にしたという。

いよいよ黒部の空に鷹が高く舞う、盛夏の訪れである。

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蓮始開(はす、はじめてひらく)

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7月12日から七十二侯は、「蓮始開(はす、はじめてひらく)」で二十四節気「小暑」の次侯にあたる。

池の水面に蓮の花が開き始める頃という意味。

泥を俗世に見立て、泥より出でて泥に染まらぬ優雅で貴賓高き蓮の花は、仏教の悟りの境地に例えられた。

加えてその崇高な清らかな花に極楽浄土を見るのである。

修行僧のかぶり物は若い蓮の葉を形取ってあり、未熟者であることを表す。

仏教徒にとっては聖なる花である。

蓮が咲く頃は、梅雨明け間近で大雨になりやすいのだが、富山県内では、今年はすでに梅雨が明け、猛暑日が続く。

連携排砂後の黒部川は透明さも増し、水量も落ち着いてきた。

河鹿蛙の鳴き声も、川風に乗って心地よく聞こえる。

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温風至(あつかぜ、いたる)

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<宇奈月ダムの排砂>

7月7日から二十四節気は「小暑」。

例年この時期は、長く続いた梅雨が終わりを告げ夏本番となる頃。

今年は太平洋高気圧とオホーツク高気圧に梅雨前線が挟まれて停滞状態。

気象庁は過去最多となる9府県に各地に大雨特別警報が出され、西日本を中心に甚大な豪雨被害が広がっている。

宇奈月温泉上流にある宇奈月ダムと出し平ダムでは、今年2回目となる連携排砂が行われた。

七十二侯は、「温風至(あつかぜ、いたる)」で二十四節気「小暑」の初侯にあたる。

温風とは南風のことで、温風が吹いて蒸し暑い日が増えてくる頃という意味。

沖縄から順に梅雨明けが始まるのもこの時期である。

早く雨が治まり、一日も早い復旧が望まれる。

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半夏生(はんげ、しょうず)

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7月2日から七十二侯は、「半夏生(はんげ、しょうず)」で二十四節季「夏至」の末侯にあたる。

半夏という薬草が生える頃という意味。

半夏は烏柄杓(からすびしゃく)でサトイモ科の多年草。

花茎の頂きに仏炎包をつけ、中に肉穂花序を付ける独特な形をしている。

宇奈月の山野で見かける座禅草、水芭蕉、蝮草なども仏炎包を有し肉穗花序を付けている。

仏炎包とは仏像の光背の炎形に似ているため。

この頃に降る雨は、半夏雨(はんげあめ)と言われ、大雨になることが多い。

梅雨前線が日本列島に停滞するこの時期に、宇奈月ダムでは増水を利用して堆積した土砂を吐き出す排砂が行われるが、今年は6月28日に行われた。

上流のダムと連携排砂される。

7月1日は北アルプス・立山の夏山開き。

みくりが池周辺では高山植物の見頃を迎える。

いよいよ夏山のシーズン到来である。

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菖蒲華(あやめ、はなさく)

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<田渕俊夫・院展出品作「放水」とカッシイナー、キャブチェアー>

6月27日から七十二侯は、「菖蒲華(あやめ、はなさく)」で、二十四節気「夏至」の次侯にあたる。

菖蒲の花が咲く頃という意味。

菖蒲は「あやめ」とも「しょうぶ」とも読める。

あやめ(菖蒲)は梅雨の到来を告げる花として親しまれている。

外花被のつけ根にある網目模様は、ハナショウブとカキツバタとの判別方法になる。

宇奈月公園では6月の初めに開花し、今は結実となっている。

冷たい清水が流れる宇奈月公園では、蛍の乱舞が見頃。

立山黒部アルペンルートにある黒部ダムで夏の行楽シーズンの到来を告げる観光放水が始まる。

黒部ダムは、河床からの高さが高さ186mと日本一の壁面を誇るアーチ式キダムで、二箇所の放水口から毎秒7.5トンずつ合計15トンを放水、10月15日まで毎日実施される。

豪音と共に噴出する水に日がさして虹が架かる。

黒部峡谷・セレネ美術館では黒部ダムを題材とした田渕俊夫画伯の院展の出品作「放水」が展示されている。

水のエネルギーを巧みに捉えている。

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乃草枯(なつかれくさ、かるる)

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<僧ヶ岳登山道に咲く靫草>

6月21日から二十四節気は夏至。

1年の内で最も日が長く、夜が短くなる頃。

これから盛夏に向けて日に日に暑さが増すが、梅雨のまっただ中、雨の多い日も続く。

夏らしい暑さも日の長さも実感できる日は、まだ先のこと。

七十二侯は「乃草枯(なつかれくさ、かるる)」で「夏至」の初侯にあたる。

乃東(なつかれくさ)とは、消炎や利尿効果のある漢方薬として用いられる「夏枯草(かごそう)」の古名で、シソ科の靫草(ウツボグサ)である。

花穂の形が、矢を入れる靫に似ていることから和名がついた。

宇奈月の草地で、直立して咲いているのを見かける。

花穗が枯れて夏枯草となり、本格的な夏到来となる。

半年前の冬至の初侯は「乃草生(なつかれくさ、しょうず)」で、「冬至に生じ、夏至に枯れる」。

季節は正確に巡ってくる。

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